現在の受講者数
23名
2025年2月にスタートした最新のコースです。
アニマル・メンタル・ウエルネスの目的と役割
アニマル・ウェルビーイングは、最低限の基準を満たすことを目指す動物の福祉(アニマル・ウエルフェア)の概念をさらに一歩進め、ポジティブな経験を積極的に提供することを重視する動物の暮らしをさらに「プラスへ」と推し上げる考え方です。
アニマル・ウェルビーイングは、苦痛を感じる経験を減らすだけではなく、喜び、安心、探求心や好奇心が満たされるといった、動物が「価値ある生涯」を送っている状態を目指します。
このアニマルウェル・ビーイングを実現するための中心的な要素が、「アニマル・メンタル・ウェルネス」です。
アニマルメンタルウェルネスは、動物が精神的に満たされ、ポジティブな感情を経験できるように働きかけることを意味します。
身体的に健康で、清潔な環境にいたとしても、長寿であっても、退屈、不安、孤独などを感じていれば、その動物のウェルビーイングは高いとは言えません。
「どうぶつの心のケア」はアニマル・メンタル・ウェルネスを指します。
コース概要
このコースでは、アニマル・メンタル・ウェルネスの守りのケアである「ストレスの最小化」と攻めのケアである「ポジティブな経験と状態の増大」のための知識を学びます。
自分自身が動物に対して直接実践できるようになるだけでなく、動物の飼養者が実践できる、現実的で持続可能な動物のサポート方法と環境改善のアイデアを創出し、提案するスキルを磨きます。
理想に固執するのではなく、よりよい選択を続けることで、動物たちのウェルビーイングを支援します。
動物への支援の目的とコースの内容には、次のことが含まれます。
対処の基盤は行動科学で、適切な環境操作・再設計・再構築によって、動物たちを支援します。概念は操作化して取り組みます。
- 精神的苦痛の除去・軽減:恐怖・不安・フラストレーション(苛立ち、怒り、悲しみなど)・葛藤・混乱といった精神的苦痛の軽減。精神的疲労からのリカバリー。
- リラックスの拡大:身体的安全の確保。精神的安全(安心と自信)の向上。落ち着つくことができる時間と環境の拡大。問題に直面した場合の望ましい対処行動の習得・継続。
- 充実した日々の支援:飼養者・管理者との信頼に基づく関係の維持・向上。正の強化を受ける機会(選択し、能力を発揮し、そのときその動物が望む結果を得られる機会)の多い暮らしの提供。
3つの知識の柱
- 動物が経験していることと動物が置かれている状況を理解するための知識
- ケアの提供場面においての対策とトレーニング戦略の知識
- 適切な対処方法を選定するための知識
どの柱が欠けても、動物の安全と快適さを向上させるための「適切な選択」をすることはできません。
この3つの知識を網羅したこのコースは、主観や強要的思考の枠組みを取り払い、「ストレスを抱える動物たちを助けるための科学的倫理的ガイドライン」となり、多様な場面での建設的な判断に役立ちます。
私たちは動物たちに不安になる必要がないことも、私たちが動物たちの味方であることも「言語的に」伝えることはできません。
動物たちが何に困っているのか?を言語的に知ることはできません。
そこで大きな役割を果たすのは、行動分析学(行動科学)です。
行動分析学を活用、応用することで、言語に頼ることなく、行動を理解、予測、予防、改善することができます。
行動分析学を実際の場面に応用する応用分析学(ABA)は、自閉症の子どもたちや言語を持たない障害のある子どもたちの生活向上に長年に渡り役立ってきました。
行動分析学では、感情を分析の対象にしませんが、それは客観的に計測することが不可能なためであり、感情の存在を否定しているからでも、取り扱う必要のないものと考えているからではありません。
感情も行動であり、環境によって起こり、環境によって変化します。動物の精神的苦痛を軽減するために必要なことは、人の認知と言語的分類に基づいて動物の感情を分類することではありません。苦痛を経験していることにいち早く気づき、苦痛の環境的要因(ストレッサー)を見つけて、それを改善するための対策を速やかに講じることです。
行動分析学は、苦痛の環境的要因(ストレッサー)を見つけることにも、動物たちが新しい予測や行動、スキルを持つことを手伝うときにも役立ちます。
私たちは、さらにストレスや脳のしくみや、人に対する心のケアのアプローチについても学ぶことによって、動物たちの精神的苦痛や私たちができることとするべきことが見えてきます。
受講によって得られること
動物たちの精神的苦痛軽減とリラックスの拡大に役立つ、効果的・現実的・持続可能な対処を速やかに判断して、実践と提案ができるようになることを目指します。
- 動物たちを決めつけることなく、彼らが経験していることを理解する
- 自分が持っている動物に対する強要的思考に気づく
- 自分ができることの中から、目の前にいる動物の精神的苦痛の軽減とリラックスできる時間と空間の拡大のためにできることを見つけ、速やかに実行することができるようになる
- 自分が選択した方法が機能してないしていない場合には、それに気づき、その理由を見つけ、別の選択の検討へと速やかに移ることができるようになる
すべてのカリキュラムを修了した方には、WebサイトやSNSに掲載できるデジタル修了証が発行されます。
このコースをおすすめする人
動物のトレーナーだけではなく、動物たちにケアを提供する獣医師、動物看護師、トリマー、シッター、動物たちの飼養者・管理者として動物たちを守り、動物たちの日々の生活を支援する動物園・水族館スタッフ、犬、猫、鳥などのペットの飼い主、など、動物たちのよりよい暮らしを手伝いたいと考えるすべての方にお勧めします。
特におすすめしたい方
- 動物たちのストレスを軽減したい方
- 動物たちが生きていく世界をよりよいものにしたい方
- 「拮抗条件づけ」がうまくいかない方
- 「拮抗条件づけ」という方法に疑問を抱いている方
- ハズバンダリー・トレーニングがうまくいっていない方
- 行動科学の知識とトレーニングの技術を動物たちのよりよい生活のために使いたいトレーナー
- 行動のコンサルティングを提供したいドッグトレーナーをはじめとする動物のトレーナー
- よりストレスの少ないケアを提供したい動物園・水族館スタッフ、ペットシッター、トリマー、獣医師、動物看護師、シェルタースタッフ、一時預かりボランティア、動物の飼い主の方
講師より
私たちがケアする動物たちは、私たち「人にとって都合のいい社会・環境・関わり」の中で、暮らしていかなければなりません。その環境は、動物たちにとっては自然ではなく、特殊なものです。
動物たちが不自然で特殊な環境で生きていくことを選んだのは、動物たち自身ではなく、私たち人です。
私たちには、「動物たちが不自然で特殊な環境の中で生きていかなければならないこと」を理解し、彼らがより安全によりよく暮らせるように手伝う責任があります。
動物たちは、日々の暮らしの中で、さまざまな困難に直面します。その中には、彼ら自身ではうまく対処できないこともあります。
彼らが経験するストレスは、ストレスシグナルやフェザーピッキング、エクセッシブ・リッキングといった静かなものから、吠え、噛みなど激しい行動まで、様々なかたちで表れます。
そうした彼らの行動の中で、自分たち人にとって都合の悪いものを「問題行動」と呼び、彼らの問題と考え、彼らに罰を与えることを選びます。
その考えも、選択も間違っています。なぜなら行動は環境がなければ起こることはなく、問題になる動物の行動は環境が起こしているからです。問題があるのは環境です。
私たちがすべきことは、動物たちに行動の責任を押し付けて、責めることではなく、動物たちが経験していることを理解して、行動に影響を与えている環境を調べ、見つけ、それを改善することです。獣医療やトリミングなどのケア、安全管理など、安全と健康を守るためにどうしても避けられないストレッサーに対しては、提供方法や環境を工夫するだけではなく、その出来事に対する感情的反応を軽減したり、うまく対処するための行動やスキルを動物が習得し、うまく使えるようにしたりするための経験を提供することができます。そうした経験を提供することがトレーニングで、動物のトレーニングとは動物のためのものです。
動物たちが必要としているのは、罰を与えられることではありません。問題と呼ばれる行動は動物たちからのSOSです。動物たちが必要としているのは、私たち人の理解と助けです。
動物たちが経験しているストレスを理解し、彼らのストレスを軽減するための改善や工夫をすることは、動物たちの安全だけではなく、周囲にいる人の安全を守ることにもなります。
齋藤美紀, KPA-CTP, CPDT-KA, FearFree® Certified Professional
「動物たちにとって、より安全でより親切な選択」を考え続ける、動物の行動のコンサルタント。ブラインドドッグ(目が見えない犬たち)のトレーニングのスペシャリスト。
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コース期間と利用期間
※必ずご確認ください
コース期間:約3ヶ月
- 最初にコースにアクセスした日から毎週新しい講義が公開されます(全12講義)。最短で約3ヶ月でコースのすべての内容を修了することができます。
- 最初のコースアクセス日が、購入日から96日以上経過した場合、すべての講義が提供される前に、利用期間が終了することになります。
- また、すべての講義で課題の提出と気づきの提出が必要で、時間のかかる課題もあります。課題として提出された内容がいい加減なものであった場合は、修了が取り消される場合があります。
- コース購入後、速やかにコースにアクセスして、Week0の情報を確認し、少なくとも購入日から80日以内に、講義の視聴と課題の提出に取り組みはじめられることをお勧めいたします。
- 公開された講義は、利用期間終了日までアクセス可能です。
利用期間:180日
- 利用期間とは、コースにアクセスできる期間を指します。公開された講義は利用期間最終日まで閲覧可能です。
- 利用期間は、コースを購入した日を1日目としてカウントされます。
- いかなる理由があっても利用期間の延長はできません。コースの再購入は可能です。
コーススケジュール
コースコンテンツ
各講義で提供されるコンテンツ
- 講義(動画またはスライド。字幕なし)
- テキスト(講義を聞き空欄を埋めて完成させる穴埋め式。PDFダウンロード)
- 課題(オンラインフォームからの提出)
- 参考資料・補足情報(リンクまたはPDFダウンロード)※
※講義による。
講師への質問
- 利用期間中可能。
- コース内容に関する質問は月2つまで可能。
- いただいた質問は、半月分をまとめて1本の動画または音声情報で回答
- 毎月1日〜15日に提出された質問 → 当月20日に回答を公開
- 毎月16日〜31日に提出された質問 → 翌月5日に回答を公開
推奨する学習方法
※他の受講者の提出課題や気づきの内容は他の受講者に共有されますが、それらの投稿は本人が設定するニックネームによって行われるため、個人情報は共有されません。
受講条件
このコースを購入&受講するには、次の2つの要件を満たしている必要があります。
【要件 1】下記のいずれかの基礎コースの修了 ※修了証を獲得済みであること
- ベーシック・コース(2020年に提供終了)
- 動物福祉と行動科学【エッセンシャルズ】
- 現代的な動物の教科書【3コースセット】(2025年6月までの名称)
上記基礎コースをいずれも受講されていない方で、このコースの受講をご希望の方は、「どうぶつの心のケア・プロフェッショナルプログラム」のご購入ください。
【要件 2】犬のストレス・シグナル講座(対面一日集中講座。開催地:東京・渋谷)を受講済み、もしくは、今後受講予定である
コース購入後、申し込み者が上記要件を満たしているかどうか当社の記録と照合いたします。購入コースの履修状況も確認いたします。
以上の2つの要件を満たされない状態で購入された場合、コース購入はキャンセルとなり、対応手数料および決済手数料を差し引いてご返金いたします。
要件を満たさない状態での購入を2回以上行われた場合、以後のお取引はお断りさせていただきます。
このコースについてのよくあるご質問
マスターコースとはなんですか?
「マスターコース」とは、特定の分野やスキルについて深い理解と高度な知識を提供するコースを指します。基礎的な知識を持っている受講者に対して、さらに専門的な内容に焦点を当てたコースです。講義や課題を通して、理論の応用、実践的手法や高度なトピックへの理解を深め、専門性と応用力向上を目指します。
このコースは誰を対象としていますか?
より効果的でより親切なトレーニングを提供したいと考えるドッグトレーナーをはじめとする動物のトレーナーだけではなく、自分が関わる動物たちによりよいケアを提供したいと考える動物園・水族館のスタッフ、ペットシッター、トリマー、獣医師、動物看護師、ペットの飼い主にも適しています。
解説される科学や方法は犬に対するものですか?
説明のための例や実践の様子として犬が多く登場しますが、学ぶしくみや科学的背景は動物に共通のものです。また、コースで学ぶ戦略や対処方法は、ハウツーではなく、構造化されたアプローチで、手伝う動物の好みやしている行動と、置かれている環境、苦痛の要因、自分ができることに合わせて、選択、調整、工夫して利用するものなので、適用する動物種は問わず、犬に限定されるものではありません。
トレーニングの技術を教えてくれるのですか?
コースでは不安・恐怖を軽減するための様々なトレーニング戦略について、背景や適用条件などを含めて解説しますが、戦略を実施するためのマーカー・トレーニングの実践的知識とスキルの指導は含まれていません。
マーカー・トレーニングの知識とスキルをお持ちでない場合は、このコースを修了したトレーナーの指導下でトレーニングを実施するか、2025年中に公開・開始予定の「エラーレス・クリッカー・トレーニング・コース(動物のトレーナー向け)」や「Relax & Paws Collective(仮称。飼い主が愛犬と一緒に参加する少人数制のオンライングループクラス)」を受講することをお勧めします。
コース修了証は発行されますか?
はい。コース修了後にデジタル修了証が発行されます。SNSやWebサイトに掲載可能です。
他の受講者との交流はありますか?
コース内で、他の受講者の思考やアイデアは、共有される課題や気づきを通して知ることができますが、他の受講者と直接やり取りをする機会は設けていません。なお、課題や気づきの共有は、受講者本人が設定した「ニックネーム」を使用して行われるため、個人情報は共有されませんので、ご安心ください。他の受講者との交流やおしゃべりを楽しみたいという方のためのオフ会開催は検討中です。
その他のよくある質問はこちらをご覧ください。
ご購入の前に、必ずご確認ください。
- 必ずこのページのすべての内容および利用規約(オンデマンド型コース)の内容を事前にご確認ください。
- このコースの利用期間(コース内容にアクセスできる期間)は、決済日から180日間です。利用期間の延長はできません。
- 当社が提供する製品およびサービスはセルフサービス型です。登録、申し込み、購入および利用に関連する確認、準備および作業は、問題発生時の対処も含めて、受講者の責任において行うことが規定されています。
- コースを通じて提供される情報の中で、既に公知となっているもの以外は機密情報のであるため、情報の提供目的および利用可能な範囲が厳密に決められています。規定に反した場合、受講者は法的責任を問われ損害賠償の責任が生じます。ご自身の情報の利用目的および利用の仕方の理解が合っているかを利用規約(オンデマンド型コース)をご確認ください。
- 購入後のキャンセル・返金はできません。
-
次のような場合は、ご購入をお取り止めください。
- 規約に同意できない内容がある
- 受講に必要な操作等に不安がある
- 決済ができない (当社の製品およびサービスをご利用いただけません。決済を繰り返し試みる行為はおやめください。)
ベーシック・コースを修了されている方
受講料:92,000円

現代的な動物のトレーニングの教科書【3コースセット】、または、動物福祉と行動科学【エッセンシャルズ】を修了されている方
受講料:92,000円

基礎コース未受講の方
受講料:125,000円
